「ChatGPTやGeminiって聞くけれど、難しそう」「何に使えるの?」「子どもの情報を入れても大丈夫?」——保育の現場でも、AIを書類作成に使う場面が少しずつ増えています。この記事では、ChatGPTとGeminiの違い、始め方、保育の書類作成での活用シーン、そして一番大切な個人情報の扱いと設定まで、1本にまとめました。
この記事でわかること
- ChatGPTとGeminiの違いと、どちらを選ぶかの考え方
- それぞれの始め方(スマホですぐ使える)
- 保育の現場で使える活用シーン
- 入力してはいけない情報と、学習・履歴まわりの設定
- AIの答えを確認するときのポイント
この記事は、現役保育士(保育士歴6年)の「あやせん」が執筆しています。詳しいプロフィールは運営者情報をご覧ください。
ざっくり言うと
・AIは、おたよりや連絡帳などの文章のたたき台と、アイデア出しが得意です
・ChatGPTは文章の言い回しの相談、GeminiはGoogleのサービスとの連携が強みです。両方とも無料の範囲から試せます
・子どもの氏名や家庭の事情など、個人が特定できる情報は入力しない。出てきた内容は必ず自分で確認してから使います
※AIツールの機能・料金・設定画面は変更されることがあります。この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。最新の情報は、各サービスの公式ページで確認してください。
保育の現場で、AIが役立つ場面
AIに向いているのは、「ゼロから文章を考える」作業です。おたよりの書き出し、連絡帳の言い回し、行事の案内文など、毎月・毎日のように発生する書類作業で、たたき台を数秒で出してもらえます。
こども家庭庁も、保育施設や子育て関連事業者向けに「生成AIの導入・活用に向けた実践ハンドブック」を公表しています。保護者への連絡や日誌の作成補助、教材づくり、写真記録の文章化などが、活用の例として挙げられています。同時に、入力した情報がAIの学習に使われないよう確認すること、出力の正確性を人が確認すること、研修やマニュアルでルールを整えることも重視されています。
ChatGPTとGemini、どちらを選ぶ?
どちらも、文章で話しかけると答えてくれるAIサービスで、基本的な使い方は似ています。主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | ChatGPT | Gemini |
|---|---|---|
| アカウント | 専用のアカウント登録が必要 | Googleアカウントがあれば、そのまま使える |
| 文章作成 | 言い回しやニュアンスの調整を、会話しながら繰り返しやすい | 簡潔にまとまった文章を作りやすい |
| 他サービスとの連携 | 単体での利用が中心 | Googleドライブ・スプレッドシートなどと連携しやすい |
| 画像を使った相談 | 対応している | 画像を読み込ませて相談しやすい |
| 無料で使える範囲 | 無料プランがある(回数などに制限あり) | 無料で使える範囲がある(回数などに制限あり) |
※使い心地には個人差があります。表は、私が保育の書類作成で使ったときの印象をもとにした目安です。
ChatGPTが向いている人
おたよりや連絡帳など、文章そのものの言い回しにこだわりたい方。会話をするように、少しずつ文章を直していきたい方に向いています。
Geminiが向いている人
すでにGmailやGoogleスプレッドシートを日常的に使っている方。出席簿や身体測定の集計、資料の要約など、事務作業の効率化を重視したい方に向いています。
どちらか一つに絞る必要はありません
無料の範囲で両方を試して、「文章の言い回しはChatGPT、スプレッドシートの相談はGemini」のように使い分ける方も多いです。
ChatGPTの始め方(3ステップ)
- 公式サイトまたはアプリからアカウントを登録する:メールアドレスがあれば、数分で登録できます。
- チャット画面に、やりたいことを話しかけるように入力する:「〇〇の文章を考えて」「〇〇のアイデアを出して」など、普段の会話に近い言葉で大丈夫です。
- 出てきた回答を、自分の状況に合わせて手直しする:AIの回答はあくまで下書きです。必ず自分の言葉で調整してから使います。
Geminiの始め方(2ステップ)
- 普段使っているGoogleアカウントでログインする:新しく登録する必要はありません。ただし、職場・園で配られたGoogleアカウント(Google Workspace)の場合は、管理者の設定でGeminiが使えないことがあります。
- チャット画面で、やりたいことを話しかける:ChatGPTと同じように、普段の言葉で入力するだけです。
保育の現場で使える活用シーン
文章づくり(ChatGPT・Geminiどちらでも)
- おたよりの文章のたたき台:「保育園の5歳児クラスの担当です。6月のおたよりの冒頭文を、梅雨の時期の様子や子どもの成長を絡めて3パターン提案してください」のように頼むと、複数の案から選べます。
- 連絡帳の言い回しのバリエーション:「同じことを伝えるにも、毎日同じ表現になってしまう」というときに、言い換えの案を出してもらえます。
- 保護者に伝えづらい連絡文:体調やケガなど、気を遣う内容を、丁寧で誤解のない言い回しに整えるヒントがもらえます。
- 行事案内文のたたき台:日時・持ち物などの必要事項を伝えると、案内文の形に整えてくれます。
- 月案・週案のたたき台:「〇歳児、〇月のねらいを5領域に沿って考えて」と頼むと、たたき台になります。園の様式や子どもの実態に合わせた修正は必ず必要です。
アイデア出し・計画(ChatGPT・Geminiどちらでも)
- 遊びのアイデアのブレインストーミング:「雨の日に室内でできる、体を動かす遊び」など、ネタ切れのときの相談相手に。
- 壁面製作・製作遊びのアイデア:「〇歳児向け、冬をテーマにした壁面製作のアイデアを5つ」のように頼むと、材料や配色のイメージまで一緒に考えてくれます。
- 行事の進行台本のたたき台:発表会や運動会の司会進行の流れを伝えると、台本の形に整えてくれます。
- 保護者向けアンケートの質問文づくり:聞きたい内容を伝えると、答えやすい質問文に整えてくれます。
事務作業・Google連携(Geminiが使いやすい場面)
- スプレッドシートの集計のヒント:出席簿や身体測定の記録で、数式の組み方や整理の仕方を相談できます。
- Googleドライブ内の資料の要約:長い研修資料やマニュアルの要点を、短くまとめてもらえます。
- 研修レポートや振り返り文章の言い回し:自分の考えを伝えると、読みやすい表現に整えるヒントがもらえます。
おたより用に、そのままコピーして使えるプロンプト(AIへの指示文)は、おたより作成が秒で終わる!保育士向けChatGPTプロンプト集にまとめています。
安全に使うために|入力してはいけない情報と設定
入力しない情報
- 子どもの氏名、住所、生年月日、写真
- 保護者の氏名・連絡先、家庭の詳しい事情
- 園名や、特定の園の内部情報
「Aちゃん」「ある園児」のように匿名にしても、状況から個人が特定できる場合があります。迷ったら入力せず、一般的な内容に言い換えましょう。
ChatGPTの設定
無料版やPlus版では、初期設定のままだと、入力した内容がモデルの改善に使われることがあります。設定画面の「データコントロール」にある「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、学習に使われないようにできます。また、履歴を残したくない相談には、「一時チャット」が便利です。なお、学習をオフにしても、サービス側が不正利用の監視などのため、一定期間(通常30日程度とされています)入力内容を保存する場合があります。
Geminiの設定
Googleのヘルプによると、Geminiアプリのチャットの一部は、品質向上のため、訓練を受けた人間のレビュアーが確認することがあります。レビューされたデータは、最長で3年間保存されます。「Geminiアプリアクティビティ」をオフにすると、チャットはAIモデルのトレーニングに使われなくなりますが、72時間はアカウントに保持されてから削除されます。Googleは、レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう呼びかけています。
出力された内容は必ず確認する
- 日付・制度・数値などの事実は、公式の情報で確認する(AIは、もっともらしい間違いを出すことがあります)
- 園の方針、子どもの実態、保護者との関係に合っているかを自分の目で確認する
- 園によっては、使うAIツールや使い方が決まっているので、事前に園長・主任に確認する
現場からのひとこと
おたよりの冒頭文にいつも同じ表現を使ってしまい、マンネリを感じていた時期がありました。試しにChatGPTに季節の挨拶文を何パターンか出してもらったところ、自分では思いつかなかった言い回しに出会えて、文章を考える時間がぐっと短くなりました。ただ、AIが出したものを全部使うわけではありません。何をどこまでAIに任せるかは、自分の中で決めています。
また、スプレッドシートで出席の集計表を作るとき、関数の組み方がわからず毎回時間がかかっていました。Geminiに「こういう集計をしたい」と伝えたところ、具体的な数式の例を教えてもらえて、自己流で悩んでいた時間が一気に減りました。最初は「どちらを使おうか」と悩みましたが、両方を試してみて、自然と使い分けるようになりました。
よくある質問
Q. 無料でも使えますか?
A. ChatGPTもGeminiも、無料で使える範囲があります。ただし、回答の回数や使える機能には制限があり、内容は変更されることがあります。まずは無料の範囲で試して、必要を感じたら有料プランを検討するのがおすすめです。
Q. 子どもの名前を入れなければ、何を書いても大丈夫ですか?
A. 名前を入れなくても、年齢・出来事・家庭の状況などが組み合わさると、個人が特定できることがあります。迷うときは、一般的な内容に置き換えて相談しましょう。
Q. AIが書いた文章をそのまま保護者に渡してもいいですか?
A. おすすめしません。事実の間違いや、園の方針・子どもの様子と合わない表現が含まれることがあります。必ず自分で読み直し、園の言葉に直してから使いましょう。
まとめ
ChatGPTもGeminiも、保育の書類作成の「たたき台づくり」には心強い味方になります。ChatGPTは文章の言い回しの相談、GeminiはGoogleのサービスと組み合わせた事務作業に向いています。大切なのは、個人情報を入力しないこと、設定を確認すること、そして出てきた内容を必ず自分の目で確認することです。まずは、おたよりの書き出しなど、小さな場面から試してみてください。文例そのものは、おたより内容10選も参考になります。
参考:
こども家庭庁「生成AIの導入・活用に向けた実践ハンドブック」(令和7年3月)
Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリのプライバシー ハブ」


コメント