「配置基準が変わったらしい」——ニュースで見聞きしたことはあっても、「結局、何がどう変わって、自分の働き方にどう影響するのか」まで正確に把握できている方は、意外と少ないのではないでしょうか?特に「1歳児が5対1になった」という話は、実は多くの方が誤解しているポイントでもあります。今回は、こども家庭庁の公表資料をもとに、配置基準改正の正確な内容と、転職・園選びで確認すべき視点を整理します。
この記事は、現役保育士(保育士歴6年)の「あやせん」が執筆しています。詳しいプロフィールは運営者情報をご覧ください。
配置基準の改正は2つ!「最低基準の引き上げ」と「1歳児の加算措置」の違い
まず整理しておきたいのは、「配置基準の改正」と一括りに語られがちなこの話題が、実は時期も性質も異なる2つの制度変更からできているという点です。
①2024年度から:4・5歳児・3歳児の最低基準そのものが引き上げ
制度発足以来76年間、一度も見直されてこなかった4・5歳児の配置基準が、「30対1」から「25対1」へ改善されました。同時に3歳児も「20対1」から「15対1」へ引き上げられています。こちらは法律上の最低基準そのものが変わったため、経過措置の期間を除けば、全国どの園でも対応が必須です。
②2025年4月から:1歳児は「加算措置」という形での改善
一方、話題になりやすい「1歳児5対1」は、実は法律上の最低基準(6対1)そのものが変わったわけではありません。「保育士1人あたり子ども5人という、より手厚い体制を整えた園に対して、国が加算(追加の運営費)を支給する」という制度が新設された、というのが正確な内容です。つまり、5対1を実現するかどうかは、各園の判断に委ねられています。
この違いを知らないまま転職活動をすると、「1歳児クラスはどこも5対1になっているはず」という思い込みで園を選んでしまい、実際に入職してから「基準は変わっていなかった」というギャップに直面することになりかねません。
年齢別の新旧配置基準一覧|2歳児が据え置きの理由は?
- 0歳児:3対1(変更なし)
- 1歳児:6対1が最低基準。5対1は加算措置による上乗せ(2025年4月〜)
- 2歳児:6対1(現時点で改正の動きなし)
- 3歳児:15対1(2024年度に20対1から改善)
- 4・5歳児:25対1(2024年度に30対1から改善、76年ぶりの改正)
意外と見落とされがちなのが2歳児です。1歳児が注目される一方、2歳児は現時点で基準改正の対象になっておらず、6対1のままです。魔の2歳児とも呼ばれるイヤイヤ期の真っただ中でありながら、配置基準は据え置き。この点は現場の実感としても、改善を望む声が根強いところです。
配置基準改正で現場はどう変わった?手厚くなった園・変わらない園の実態
制度が新設されたからといって、すべての園がすぐに理想的な体制に移行できるわけではありません。特に1歳児の加算措置は、「対象要件を満たし、かつ実際に保育士を増員できた園」だけが恩恵を受けられる仕組みです。人材確保が難しい地域や園では、加算を申請したくても人が採用できず、結果的に基準ギリギリの運営が続いているケースも珍しくありません。
私自身、以前の職場で「来年度から加算を取る予定」と説明を受けたものの、実際に人員が増えたのはそこから1年以上経ってからでした。制度の存在を知っているだけでなく、「その園で今、実際にどう運用されているか」を確認する視点の大切さを、身をもって実感した出来事です。
失敗しない園選び|配置基準の改正を踏まえた転職・面接の確認ポイント3選
①「基準」ではなく「実際の配置人数」を聞く
求人票には最低基準しか書かれていないことがほとんどです。面接や見学の際に、「1歳児クラスは何人体制で保育されていますか」と具体的に尋ねてみましょう。
②加算の取得状況を確認する
1歳児配置改善加算を取得しているかどうかは、園の運営方針や人材への投資姿勢を知る手がかりになります。「加算を取得していますか」と直接質問しても失礼にはあたりません。
③2歳児クラスの負担感も聞いておく
基準改正の話題は4・5歳児・3歳児・1歳児に集中しがちですが、2歳児クラスの働きやすさについても確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。
まとめ:制度の仕組みを理解して自分に合った保育園を選ぼう
配置基準の改正は、保育士の働き方にとって間違いなく前進です。ただし、「4・5歳児・3歳児は基準そのものの引き上げ」「1歳児は加算による上乗せ」という違いを理解しておかないと、実態とのギャップに戸惑うことになります。転職を考える際は、制度の名前だけで判断せず、園ごとの実際の運用状況まで踏み込んで確認する視点を持っておきたいところです。


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