ざっくり言うと
- 保育士の給食費は、園によって「全額自己負担」「一部補助」「無料」とバラバラ。
- 給料から食事代を天引きするには、労使協定が必要(労働基準法第24条)。
- 子どもの対応をしながらの食事は、「休憩」ではなく労働時間にあたる可能性がある。
- 給食費・自腹清算の有無は、園選びの判断材料のひとつになる。
この記事は、現役保育士(保育士歴6年)の「あやせん」が執筆しています。詳しいプロフィールは運営者情報をご覧ください。
「給料から給食費が引かれてる…」——毎月の給与明細を見て、モヤモヤした気持ちになったことのある保育士は少なくないはずです。子どもと一緒に食べることも仕事の一部のはずなのに、なぜ実費なの!?この記事では、あまり大きく取り上げられないけれど、誰もが一度は思っているだろう「保育士の給食費」について、現場の実感と、労働基準法・税の公的な情報をあわせて整理します。
保育士の給食費、実際の相場
保育士の給食費について、全国の公的な統計は見つけられませんでした。私が見聞きした範囲では、1食あたり250〜500円程度、月にすると4,000〜10,000円ほどが給与から天引きされている園が多い印象です。あくまで現場の実感で、園によって大きく違います。園によっては、子どもに食事のマナーや食べ方を伝える業務の一環として「指導食」と位置づけています。
「業務なのに実費」への違和感
子どもと一緒に食事をとる時間は、勤務時間内で、食べ方の見本を見せたり声をかけたりする、立派な保育業務です。それでも実費負担が当たり前になっている状況に、私は漠然とした疑問を抱えています。実際は早食いで食べ終わり、その後は子どもたちの食事介助、というケースがほとんどなのでは…と思います。
給食費だけでなく、製作物や壁面装飾の材料費、絵本代などが自腹清算になりがちな園も多く、こうした「見えない自己負担」が積み重なっている実態もあるはずです。
給食費の天引きにはルールがある|労働基準法第24条
厚生労働省の資料によると、賃金は「通貨で、直接労働者に、その全額を支払う」のが原則です(労働基準法第24条)。例外として、次のとおり整理されています。
| 控除の種類 | 労使協定 |
|---|---|
| 所得税・住民税の源泉徴収、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など) | 不要 |
| 寮費、組合費、食事代、駐車場代、親睦会費、社内商品購入代金など | 必要(労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数代表者との書面による協定) |
- 協定があれば何でも引けるわけではなく、「事理明白なもの」に限られます。
- 協定を結んだあとは、労働者への周知が必要です(労働基準監督署への届出は不要)。
つまり、給食費を天引きしている園には、本来は労使協定があるはずです。「そういえば、協定の話を聞いたことがない」という場合は、事務の先生や園長先生に聞いてみる価値があります。
子どもと食べている時間は「休憩」?
労働基準法の考え方では、休憩時間は「単に作業に従事しない手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」とされています(厚生労働省)。
子どもの食事介助や、トイレ・おかわり対応をしながらの食事は、労働から完全に離れているとは言いにくいはずです。園によっては、食事の時間を勤務時間として扱い、別の時間に休憩を取れるようにしているところもあります。自分の園では、食事の時間が「勤務時間」「休憩時間」のどちらで扱われているかを、就業規則や雇用契約書で確認しておくと安心です。
園が食事を補助する場合の税金のしくみ
国税庁の案内では、会社などが従業員に食事を支給したとき、次の2つを満たせば、その食事の補助は給与として課税されません。
- 従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
- 会社の補助額が月額7,500円(税抜)以下であること
たとえば、園が給食費を「半分以上は職員負担、補助は月7,500円まで」にしている場合は、この範囲に収まりやすい、ということです。なお、食事ではなく現金の食事手当として支給すると、原則として課税の対象になります。給食費を一部補助してくれる園があるのは、こうした制度があるからだと思われます。
園によって違う対応
給食費を園の福利厚生として一部、または全額負担している園もあります。同じ「保育士の給食費」というテーマでも、園の方針で負担の実態は大きく変わります。
| タイプ | 内容 |
|---|---|
| 全額自己負担 | 毎月の給与から天引き(私の見聞きした範囲では多い) |
| 一部補助 | 1食あたりの金額を下げる、または月の上限を決めて園が負担 |
| 園が全額負担 | 福利厚生として無料。園見学や面接で確認したいポイント |
現場からのひとこと
先輩が転職した先の園で、初めて給食費が無料だと知ったとき、「え、これって普通じゃなかったのー!!」と驚きました。それまでは当たり前だと思って、疑問にも感じていなかった負担が、実は園によってまったく違うものだったのだと、そのとき初めて分かりました。
月に500円の給食費だとしたら、20日働けば1万円。しかも、ゆっくり食べているわけではなく早食いです。全然味わえない日もありますよね。私は1人担任の時、指導食の最中に「うんち出たよー!」と呼ばれて、食べる→呼ばれる→食べる→呼ばれる、が何回も続いた日もありました(笑)。
給食費・自腹清算のチェックリスト
転職や園選びのとき、あるいは今の園を見直すときに、次の点を確認してみてください。
- 給食費はいくらで、どう扱われているか(天引き、補助、無料)
- 給食費の天引きについて、労使協定があるか
- 食事の時間は、勤務時間か休憩時間か
- 製作物・壁面・絵本などの材料費は、園の負担か自腹か
- 自腹で立て替えた費用は、精算してもらえるか
まとめ
保育士の給食費は、当たり前のように実費負担とされがちですが、扱いは園によってさまざまです。天引きには法律上のルールがあり、食事中の対応が労働時間にあたる可能性もあります。みなさんは、何が自己負担で、何が園負担ですか?ぜひ教えてください!
今の負担(給食費だけでなく、全体的な作業量や残業時間なども含む)が重いと感じる場合は、給食費や自腹清算の少なさを、園選びのひとつの判断基準として意識してみるのもいいと思います。
参考



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