「梅雨で外に出られない」「蒸し暑くて子どもがぐったりしている」「あせもや虫刺されが増えてきた」——6月は、気温と湿度が一気に上がり、子どもの体調管理がむずかしくなる月です。新年度の疲れが出やすい時期でもあり、保育者は日々の観察と衛生管理に気を配る場面が増えます。この記事では、熱中症、あせも・湿疹、虫刺され、体調不良、保育室の衛生管理、そして6月4日の「虫歯予防デー」まで、6月に押さえておきたい健康・衛生のポイントを、現場での経験も交えて1本にまとめました。
この記事でわかること
- 6月に子どもの体調を崩しやすい理由
- 暑さ指数(WBGT)の見方と、熱中症の予防・応急対応
- あせも・湿疹、虫刺された子への対応
- 保育室・玩具・衣類寝具の衛生管理チェックリスト
- 虫歯予防デー(6月4日)の取り組みと、保護者への伝え方
この記事は、現役保育士(保育士歴6年)の「あやせん」が執筆しています。詳しいプロフィールは運営者情報をご覧ください。
ざっくり言うと
・6月は「体が暑さにまだ慣れていない」うえに湿度が高く、室内でも熱中症が起こることがあります
・暑さ指数(WBGT)を目安に、遊びの内容や時間を調整します
・玩具・寝具・タオルなど、口や肌に触れるものの衛生管理を見直すタイミングです
6月に子どもの体調を崩しやすい理由
6月は、気温が上がる一方で、梅雨で湿度も高くなります。汗が乾きにくく、体にこもった熱が逃げにくいため、気温がそれほど高くなくても体への負担が大きくなります。さらに、梅雨の合間に急に晴れて気温が上がる日は、体がまだ暑さに慣れていないところに急な暑さが来るため、特に注意が必要です。
加えて、新年度から2か月が経ち、緊張がゆるんで疲れが出やすい時期でもあります。「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」といった小さな変化を見逃さないことが、早めの対応につながります。
① 熱中症|室内でも油断しない
子どもが熱中症になりやすい理由
こども家庭庁は、子どもは体温調節機能が未発達で、汗をかく能力も十分ではないと説明しています。また、身長が低いため、地面からの照り返しの影響を強く受けます。大人が「このくらいなら大丈夫」と感じる暑さでも、子どもにとってはずっと厳しい環境になっていることがあります。さらに、遊びに夢中になると、自分の体の変化に気づきにくいことも知っておきたい点です。
暑さ指数(WBGT)を目安に活動を決める
環境省の「熱中症予防情報サイト」では、暑さ指数(WBGT)を5段階に分け、それぞれの注意事項を示しています。気温だけでなく、湿度や日差しも反映した指標なので、梅雨の時期の判断に役立ちます。
| 暑さ指数(WBGT) | 日常生活での注意事項 |
|---|---|
| 21未満(ほぼ安全) | 適時水分補給 |
| 21以上25未満(注意) | 積極的に水分補給 |
| 25以上28未満(警戒) | 積極的に休息 |
| 28以上31未満(厳重警戒) | 激しい運動は中止 |
| 31以上(危険) | 運動は原則中止 |
また、環境省は、いずれかの観測地点で翌日・当日の暑さ指数が33に達すると予想される場合に「熱中症警戒アラート」を発表しています。発表された日は、涼しい環境以外では原則として運動を中止し、子どもへの見守り・声かけを強めることが推奨されています。園でも、朝の時点でその日の暑さ指数を確認し、外遊びの可否や時間を決める習慣をつけておくと安心です。
室内熱中症にも注意
外に出られない梅雨の時期でも、室内で熱中症になることがあります。窓を閉め切った保育室、人数の多い遊び、体を動かすリズム遊びなどは、思っている以上に体に熱がこもります。
- エアコンと換気を併用し、室温と湿度をこまめに確認する
- 室内遊びの途中でも、水分補給と休憩の時間をつくる
- 活動量の多い遊びのあとは、顔色・汗の量・呼吸の様子を必ず観察する
こんなサインに注意
こども家庭庁は、めまい・立ちくらみ・顔のほてりといった軽い症状から、呼びかけへの反応が鈍い、おかしな返答をするといった意識の異常まで、段階的な症状を示しています。軽い症状でも、見つけた時点で対応を始めることが大切です。
- 顔が赤い、またはいつもより青白い
- 汗が極端に多い、または汗をかいていないのにぐったりしている
- 呼吸が荒い、ふらふらする
- 頭痛、吐き気、元気がない
応急対応の流れ
- 涼しい場所(日陰・冷房のある部屋)へ移す
- 衣服をゆるめる
- 冷たい濡れタオルで体を拭き、うちわなどで風を送る
- わきの下や首まわりなど、太い血管のある場所を冷やす
- 意識がはっきりしていて飲めるようなら、少しずつ水分をとらせる
- 意識がぼんやりしている、反応が鈍い、ぐったりしている場合は、ためらわず救急車を呼ぶ
保護者に伝えておきたいこと
- 登園前に水分をとらせておく
- 汗を吸いやすい素材の服にする
- 着替えを多めに用意する
- 前日の睡眠不足や、朝の食欲がない日は園に伝える
② あせも・湿疹|蒸れと汗のケア
6月は、首、背中、ひざの裏など、汗がたまりやすい場所にあせもができやすくなります。肌の弱い子は、ちょっとした蒸れで湿疹が悪化することもあります。
園でできること
- 汗をかいたら、すぐに着替える(拭き取るだけでなく、湿った衣類を交換する)
- 外遊びやお昼寝のあとは、おしぼりやシャワーで汗を流す
- お昼寝のあとは、汗を拭いてから起こすなど、肌に汗が残らない工夫をする
- 通気性のよい服・肌着を保護者に提案する
家庭でできること
- 朝の着替えの前に保湿をする
- 汗をかいたら着替える習慣をつける
- 症状が強い、広がる、化膿しているときは、早めに受診する
③ 虫刺され・かぶれ|外あそび後のチェックを習慣に
気温が上がると、蚊やアリ、ハチなどの虫が活発になります。園庭や公園での外あそびが増える時期は、虫刺されやかぶれにも気を配ります。
予防のポイント
- 草むらや水辺では、長時間遊ばないようにする
- 肌の露出を減らす服装にする(長袖・長ズボンが基本)
- 虫除けシートやスプレーは、園の方針に沿って使う
- 外あそびの後は、腕・足・首まわりの皮膚をチェックする
刺されたときの対応
- 患部を流水で洗い、冷やす
- かゆがるときは、保護者に連絡して市販薬の使用を相談する
- 全身に発疹が出る、腫れが強い、顔色が悪いなどの様子があれば、すぐに医療機関に相談する
④ 急な体調不良|気温差と疲れに注意
6月は、朝晩と日中の気温差や、雨と晴れの寒暖差で、風邪のような症状やお腹の不調が出やすくなります。次のような変化があるときは、無理をさせず、早めに休ませたり保護者に連絡したりしましょう。
- 朝から機嫌が悪い、いつもより食欲がない
- 顔色が悪い、目に力がない
- 熱っぽい、お腹をおさえる、嘔吐・下痢がある
嘔吐や下痢の症状がある場合は、ほかの子にうつらないよう、吐物や排泄物の処理を適切に行うことが大切です。感染症全般の考え方や出席停止の目安は、冬に流行する感染症と保育園での対策の記事(出席停止期間の早見表つき)も参考にしてください。
⑤ 衛生管理チェックリスト|保育室・玩具・衣類寝具
梅雨の時期は湿気がこもり、衛生面の管理がむずかしくなります。こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」をふまえ、次のポイントを見直しておきましょう。
ガイドラインで示されている主なポイント
・直接口に触れる乳児の玩具は、使うたびに湯などで洗い流して干す。午前・午後で玩具を交換する
・個別の寝具にはふとんカバーをかけ、定期的に洗濯・乾燥する
・タオルの共用はしない。手拭きは個人持参のタオルかペーパータオルを使う
・室温は夏は26〜28℃、湿度は60%を目安に、換気や扇風機なども活用する
・嘔吐物や排泄物の処理には、塩素系消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム・亜塩素酸水)を用いる
保育室のチェックリスト
| 項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 床の清掃 | 毎日の掃除に加え、定期的に拭き掃除ができているか |
| 換気 | 空気の流れができているか(梅雨はサーキュレーターや扇風機も活用) |
| エアコン・加湿器のフィルター | 汚れやカビがないか、定期的に確認しているか |
| カーテン・カーペット | 定期的に洗濯、または業者に依頼できているか |
| 手指消毒の設置場所 | 子どもの手が届きにくい、安全な場所に置かれているか |
| ゴミ箱 | ふた付きで、定期的に洗浄しているか |
玩具のチェックリスト
| 項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 口に入れる玩具(乳児) | 使うたびに湯などで洗い流して干しているか。午前・午後で交換しているか |
| 布製の玩具 | 洗濯できるものを確認し、定期的に洗濯しているか |
| プラスチック製の玩具 | 定期的な洗浄・乾燥ができているか |
| 小さな部品 | 汚れがたまる部分を点検しているか |
| 共用の玩具(ブロック・積み木など) | 洗浄の順番やスケジュールを決めているか |
衣類・寝具のチェックリスト
| 項目 | チェック内容 |
|---|---|
| タオル・おしぼり | 共用せず、個人持ち(または使い捨て)になっているか |
| 口拭きタオル | 個人ごとに名前がつき、毎日交換されているか |
| 着替え | 汗や水で湿った衣類を、他の衣類と分けて保管しているか |
| 寝具(ふとん・シーツ) | カバーをかけ、定期的に洗濯・乾燥できているか。梅雨入り前に天日干しなどを行ったか |
| 寝具の収納 | 湿気がこもらないよう、換気や除湿を工夫しているか |
⑥ 6月4日は虫歯予防デー|歯みがきを「楽しい」に
6月4日は「虫歯予防デー」です。昭和3年から昭和13年まで、日本歯科医師会が「6(む)4(し)」の語呂にちなんで定めたのが始まりとされ、現在は6月4日から10日までが「歯と口の健康週間」とされています。「80歳になっても20本の歯を保つ」ことを目指して、早期発見・早期治療や、日頃のケアの大切さを伝える機会になっています。
園での取り組み例
- 歯みがきごっこ:大きな口の絵にブラシで磨くゲームや、虫歯バイキンをやっつける紙芝居など、遊びを通して「磨くって気持ちいい」を伝える
- 絵本の読み聞かせ:6月の間、週ごとに歯に関する絵本を読む
- クイズタイム:年中・年長は「どうして歯みがきするの?」などをクイズ形式で考える
- 歯科衛生士さんのお話:年長クラスで、専門家の話を聞く機会をつくる
ポイントは、虫歯予防デーだけで終わらせず、「歯みがきは楽しい」という経験を日々の給食後の習慣につなげることです。
保護者との連携
保護者からは「仕上げ磨きを嫌がる」「歯ブラシをくわえたまま遊んでしまう」「夜は疲れて磨かずに寝てしまう」といった声がよく聞かれます。正しい方法を一方的に伝えるのではなく、「うちではこんな工夫をしています」と一緒に工夫を探す姿勢が大切です。
- 歯みがきの歌を、園で使っているものと同じにして共有する
- 子どもが好きなキャラクターや、お気に入りの歯ブラシを選ばせる
- 「磨けたね、ピカピカになったね」と、できたことを具体的にほめる
保護者へのおたより文例
【6月の健康管理についてのお願い】
梅雨に入り、蒸し暑い日が増えてきました。園では、水分補給をこまめに行い、室内でも暑さや湿気に注意して過ごしています。
ご家庭でも、次のことにご協力ください。
・登園前に水分をとらせてください
・汗をかきやすい時期ですので、着替えを多めにご用意ください(すべての衣類にお名前の記入をお願いします)
・虫刺されやあせもが気になる場合は、早めにお知らせください
6月4日は「虫歯予防デー」です。園でも歯みがきの大切さを楽しく伝えていきますので、ご家庭でも仕上げ磨きの習慣づけにご協力をお願いします。
おたよりの書き方に迷うときは、おたより書き出し文例集や、ChatGPTプロンプト集も参考にしてください。
現場からのひとこと
蒸し暑い日に室内遊びをしていた子が、顔を真っ赤にして座り込んでいたと聞きました。外遊びではないからと油断していた私たちは、「室内熱中症」の怖さを改めて実感しました。それ以来、気温だけでなく湿度や活動量も見て、室内でも休憩と水分補給の時間をはさむようにしています。
よくある質問
Q. 梅雨の時期は、室内にいれば熱中症の心配はありませんか?
A. いいえ、室内でも熱中症は起こります。窓を閉め切った部屋や、体を動かす遊びのあとは、体に熱がこもりやすくなります。室温・湿度の確認、換気、水分補給と休憩をこまめに行いましょう。
Q. 暑さ指数が高い日は、外遊びを完全にやめるべきですか?
A. 環境省の目安では、暑さ指数が31以上(危険)の場合は運動は原則中止、28以上31未満(厳重警戒)の場合は激しい運動は中止とされています。数値だけでなく、その日の子どもの様子も見て、日陰での遊びや時間の短縮、室内への切り替えを判断しましょう。
Q. 玩具の消毒は、毎日アルコールで行う必要がありますか?
A. ガイドラインでは、直接口に触れる乳児の玩具は、使うたびに湯などで洗い流して干すこととされています。嘔吐物や排泄物の処理には塩素系消毒薬を使いますが、通常の玩具はまず水や湯での洗浄と乾燥が基本です。園の衛生管理マニュアルに沿って運用してください。
まとめ
6月は、熱中症、あせも、虫刺され、体調不良と、気をつけたいことが重なる時期です。暑さ指数を目安に活動を調整し、玩具・寝具・タオルなどの衛生管理を見直し、保護者と情報を共有しながら、子どもたちが元気に梅雨を乗り切れるようにしていきましょう。6月の保育全体のヒントは、6月の保育を助ける活動アイデア・行事・健康管理まとめにまとめています。
参考:
環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数」
環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症警戒情報とは」
こども家庭庁「みんなで見守り『こどもの熱中症』を防ぎましょう!」
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」



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