【最新】保育士の給料とキャリアアップ|処遇改善等加算・研修の仕組みと年収の上げ方

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ざっくり言うと

  • 保育士の平均年収は約427.6万円(job tag/令和7年賃金構造基本統計調査)。ただし園や地域、経験年数で差が大きい。
  • 処遇改善等加算は令和7年度から「区分1・2・3」に再編。キャリアアップ研修の修了が関わるのは主に「区分3」。
  • 区分3の加算は園への補助。個人にいくら届くかは、その園の賃金体系しだい。
  • 給料を上げる近道は、研修の修了と役職・専門性づくりに加えて、自園の賃金体系を知ること。

この記事は、現役保育士(保育士歴6年)の「あやせん」が執筆しています。詳しいプロフィールは運営者情報をご覧ください。

給料明細を見るたびに、「処遇改善手当はついているはずなのに、なぜ手取りはこんなに少ないんだろう」と感じたことはありませんか。私自身、何度もそう思ってきました。

この記事では、公的な資料をもとに、保育士の給料の現状、処遇改善等加算とキャリアアップ研修の仕組み、役職を目指す道と現場で専門性を磨く道の違い、そして年収を上げるための現実的な方法を1本にまとめました。制度は毎年のように見直されるので、最新の内容に沿って整理しています。

保育士の給料の現状|公的データで確認

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」(賃金構造基本統計調査などをもとにした情報)では、保育士の数字が次のように載っています。

項目数値出典年
年収(全国平均)約427.6万円令和7年
平均年齢40.3歳令和7年
月間労働時間163時間令和7年
月額賃金(求人ベース)約23.9万円(前年度差+1.0万円)令和7年度(ハローワーク求人)

これは全国の平均値です。園の運営主体、地域、経験年数、役職の有無によって実際の金額は大きく変わります。まずは「自分の給料が平均より上か下か」ではなく、「自分の園の賃金体系がどうなっているか」を知ることが大切です。

処遇改善等加算の仕組み|令和7年度から3区分に再編

処遇改善等加算は、保育士などの賃金改善のために国が園へ上乗せして支給するお金です。こども家庭庁の資料によると、令和7年度から、それまでの加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが次の3つの区分に統合されました。

区分ねらい対象旧制度との関係
区分1(基礎分)経験に応じた昇給の仕組みづくり・職場環境の改善全職員旧加算Ⅰの基礎分に相当
区分2(賃金改善分)職員の賃金改善全職員旧加算Ⅰの賃金改善分と旧加算Ⅲを統合
区分3(質の向上分)技能・経験に応じた追加の賃金改善副主任保育士等、職務分野別リーダー等旧加算Ⅱに相当(研修修了が要件)

以前の記事で「処遇改善等加算Ⅱ」と書いていたものは、現在は「区分3」にあたります。

区分3で決まっている金額と対象

役職目安の経験年数月額の目安必要な研修
副主任保育士等概ね7年以上月額4万円以内マネジメントを含む複数分野の修了
職務分野別リーダー等概ね3年以上原則月額5,000円担当する職務分野に対応した分野別研修の修了
  • 園全体の対象人数には上限があります。副主任保育士等は「基礎職員数の1/3」、職務分野別リーダー等は「基礎職員数の1/5」と研修修了者数の少ないほうが目安です。
  • 年度当初に研修を修了した職員が1人以上いることなどが園の要件になります。
  • 賃金は「職位・職責に応じた賃金体系」を書面で整備し、職員に周知することが求められます。

ここがポイント

金額はあくまで「園に支給される加算の基準」です。個人にいくら支給されるかは、園の賃金体系や配分方法で決まります。同じ制度の園でも、手当の出方が違うのはこのためです。

保育士等キャリアアップ研修とは

キャリアアップ研修は、経験や役割に応じた専門性を身につけるための公的な研修で、都道府県や、都道府県が指定した機関が実施します。分野は次の8つです。

分野主な内容
乳児保育3歳未満児への関わり、環境構成
幼児教育就学前の子どもの育ちと指導
障害児保育合理的配慮、関係機関との連携
食育・アレルギー対応栄養管理、緊急時の対応
保健衛生・安全対策感染症対策、事故防止・リスクマネジメント
保護者支援・子育て支援保護者への寄り添い、地域連携
マネジメントチームづくり、組織運営(副主任保育士等で必須)
保育実践日々の保育の振り返りと実践力の向上

1分野あたり15時間以上が基本です。自治体資料では、副主任保育士に必要な分野数や、マネジメントが必須であることなどが示されています。受講できる時期、形式(対面・eラーニング)、修了証の発行時期、他の都道府県で修了した場合の扱いは自治体によって違うため、受講前にお住まいの自治体の案内で確認してください。

【体験談】受講して感じたこと

最初は「ただでさえ人手不足なのに、15時間も研修を受けるなんて無理!」と思っていました。レポート提出もあり、自分の時間が削られる抵抗感は強かったです。

幸い、私の園ではeラーニング(オンデマンド配信)を導入してくれました。お昼寝中の事務時間や自宅のすき間時間に1コマずつ受講でき、思ったより楽に進められました。1本15分ほどの動画がいくつも並ぶ形式もありました。私は最初に0歳児クラスを担当していたので、「乳児保育」から受講しました。

受講後は、職員がそれぞれ違う分野を受講したことで、園の中に「この分野ならこの先生」という強みが増えました。お迎えのときに担任以外が対応しても、「アレルギーの件、しっかり引き継いで聞いていますよ」と保護者にブレない説明ができるようになり、園全体の信頼感が上がったと感じます。注意点は修了証の発行までに時間がかかることで、私は毎年、受け取るまで半年ほどかかっています。

忙しい中で修了するコツ3つ

  • 形式を選ぶ:自分のペースで進められるeラーニングがあれば選ぶ
  • 年間スケジュールを可視化:行事や人員配置を見て、園全体で受講日程を調整する(対面は日程が重なると人手が足りなくなるので要注意)
  • レポート対策:講義中に「明日からの保育に活かせる実践アイデア」を箇条書きでメモしておく

役職を目指す?現場で専門性を極める?

経験を積むと、「このまま現場一筋でいいのか」「そろそろ役職を目指すべきか」と迷う時期が来ます。保育士は担任を持つ仕事なので、来年度の4月からどうするかを早めに考える人も多いはずです。どちらが正解ということはありません。それぞれの特徴を整理します。

主任・リーダーを目指す道現場で専門性を極める道
主な役割後輩指導、シフト管理、保護者対応のサポート、外部機関との調整など担任・フリーとして子どもに関わりつつ、発達支援・食育・アレルギー対応などを深める
給与面副主任保育士等として区分3の対象になりやすい職務分野別リーダー等として分野別研修の修了が評価される可能性がある
大変なところ書類作成や職員間の調整が増え、子どもと関わる時間が減りやすい園の評価制度によっては、現場の頑張りが給料に反映されにくい

迷ったときの3つの視点

  • 何にやりがいを感じるか:子どもと過ごす時間が活力か、園全体の環境づくりが面白いか
  • 今の園で希望のキャリアが叶うか:園の規模や方針によっては「現場のスペシャリスト」が評価されにくい園もあります。自園のキャリアパスを確認しましょう
  • 体力やライフステージの変化:数年後の働き方も考えておく

以前の職場に、あえて主任などの管理職は目指さず、発達支援や心理学の勉強を重ねていた先輩がいました。役職はなくても、特別な配慮が必要な子の対応や保護者支援では園内で誰よりも頼りにされていて、「役職に就くことだけがキャリアアップじゃない」と実感しました。一方で、主任や園長が何人もいる園は少なく、上が詰まっているのも事実で、保育士のキャリアは本当に難しいです。

年収を上げる現実的な方法

① 自園の賃金体系を確認する

まず、次の3点を確認してみましょう。区分3では「職位・職責に応じた賃金体系の書面整備と周知」が求められるので、聞くのは遠慮することではありません。

  • 自園で副主任保育士等・職務分野別リーダー等はどう配置され、いくらの手当が付くのか
  • 昇給の基準(勤続年数だけか、評価や研修修了も反映されるのか)
  • 研修の受講日程や費用(公費・園負担の有無)

② キャリアアップ研修を修了して役職・役割を目指す

研修を修了し、園の中で副主任保育士等や職務分野別リーダー等の役割に就くと、区分3の対象になります。同じくらい仕事ができる職員がいたら、研修を多く修了している人のほうが有利になりやすい、というのが現場の実感です(園の運用によります)。

③ 専門分野を増やす

医療的ケア児への対応や発達支援など、専門性の高い研修・資格に手当をつける園もあります。園の給与規定で条件を確認しましょう。

④ 園を比べる

同じ保育士でも、法人によって給与テーブル、賞与、住宅手当などが違い、年収に数十万円の差が出ることもあります。以前の職場で、同期だった同僚が転職後の給与明細を見せてくれたことがありました。仕事内容はほとんど同じなのに月給で3万円近く違い、言葉を失いました。月3万円は年間で36万円です。「今の園が当たり前」と思い込むと、ほかの選択肢が見えなくなると痛感しました。

⑤ 雇用形態を見直す

パートや非常勤から正社員になると、賞与や各種手当の対象になり、年収が大きく変わることがあります。

よくある質問

Q. キャリアアップ研修を受ければ必ず給料は上がりますか?

必ず上がるとは限りません。区分3の加算は園に支給されるもので、個人の手当は園が賃金体系の中で決めます。園の人数枠もあります。受講前に、自園での扱いを確認しておくと安心です。

Q. 経験が浅くても受講できますか?

分野別研修は経験年数の目安(概ね3年以上など)が「役職・手当の対象になる条件」として示されています。受講できる条件は自治体によって違うため、実施機関の案内で確認してください。

Q. 修了証はずっと使えますか?

修了証は都道府県または指定された実施機関が発行します。転職や転居で他の都道府県に移る場合の扱いは自治体で異なる可能性があるため、移る先の自治体に確認すると確実です。

Q. 「区分1・2・3」と、以前の「加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」は別物ですか?

令和7年度から、旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが再編・統合されたものです。区分3が旧加算Ⅱ(キャリアアップ研修が関わる部分)にあたります。

まとめ|制度を知って、自分のキャリアを見直そう

処遇改善等加算は保育士の待遇を支える大切な制度ですが、個人にどう反映されるかは園によって差があります。役職を目指す、専門性を磨く、自園の賃金体系を確認する、園を比較する。こうした選択肢を知っているだけでも、「今のままでいいのか」を考える材料になります。まずは、気になる分野の研修を1つ調べてみるところから始めてみてください。

参考

処遇改善について「もらえていない」と感じたときの確認の仕方は、処遇改善加算が一本化、それでも給料が上がらない理由の記事で解説しています。

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