―現役保育士が語る、実習生の失敗から見える成長のポイントと園の支え方―
はじめに
保育実習は、保育学生にとって学びと成長の大切なステップです。しかし同時に、初めての実践の場での緊張や不安から、どうしても失敗がつきものです。私も実習生の頃は、子どもの名前を間違えたり、子ども同士のトラブル対応で迷ったりと、多くの失敗を経験しました。
でも今、保育士として実習生を受け入れる立場になって思うのは、失敗自体は怖がることではなく、その後の「振り返り」や「改善の意欲」にこそ意味があるということです。
今回は、私の園での具体的な体験や保護者・保育士両方の視点から、実習中の失敗をどう捉え、どう乗り越えるかについて詳しくお伝えします。
1.実習生のよくある失敗例と私の対応
私の園でよく見られる実習生の失敗は、大きく分けて以下の3つです。
(1)子どもの名前を間違える
実習生の緊張からくる典型的な失敗です。私も実習の時、名前を何度も間違えてしまい落ち込みました。
私の園では、名前を間違えたらすぐに本人に「ごめんね」と素直に謝ること、そして担任の保育士に報告することを徹底しています。これにより、子どもも保護者も「きちんと認識してくれている」と感じられます。保護者からは「失敗しても正直に伝えてくれる先生は信頼できる」という声を何度もいただいています。
(2)保護者への報告が遅れる・伝え方が難しい
実習中に子どもが怪我をしたり、体調を崩したりした場合の対応は、学生にとって大きな壁です。私の園では実習生が一人で判断せず、必ず先輩保育士と一緒に保護者対応をします。
保護者目線では「何が起きているのかをきちんとわかりやすく説明してほしい」というニーズが強いので、実習生には「具体的な事実」と「今後の対応」を明確に伝える練習をしています。
(3)子ども同士のトラブル対応で迷う
子どものケンカやトラブルにどう介入すべきか、実習生は迷うことが多いです。私の園では「まずは子どもたちの話を聞く」ことから教え、落ち着かせてから一緒に解決策を考える指導をしています。
2.保護者目線:失敗よりも「真摯な姿勢」が大切
保護者は保育士に完璧さを求めているわけではありません。むしろ、実習生のようにまだ学んでいる段階の方には、
- 子どもへの愛情や誠意を感じたい
- 不安や疑問に対して丁寧に向き合ってほしい
- 何かあったらすぐに報告・相談してほしい
という想いがあります。
私の園で保護者対応をする際も、たとえ実習生が失敗したとしても、その後の誠実な説明やフォローがあれば、保護者の信頼は失われません。
3.私の園ではこうだった:失敗を成長につなげるための具体的なサポート体制
私の園では、実習生が失敗を恐れず挑戦できるよう、以下の3つの取り組みを行っています。
(1)事前のロールプレイと声かけ練習
実習開始前に、よくある場面(名前を間違えた時、保護者への報告など)を想定したロールプレイを行い、言葉の選び方や表現方法を練習します。これにより、本番での焦りを減らします。
(2)「振り返りノート」の活用
実習生には毎日、その日の出来事や感じたこと、困ったことを書いてもらい、指導者と共有します。これが自己理解と課題解決の材料になります。
(3)フォローアップ体制の強化
実習生が困った時はすぐに相談できるよう、必ず担当の保育士がそばについてサポートします。実習生が一人で悩まず、安心して行動できる環境を整えています。
4.保育士目線からのメッセージ:失敗は成長の大事な一歩
私自身、実習生時代の失敗から学んだことは多く、それが今の保育に生きています。失敗したことで、
- どの場面で自分が迷ったのか
- 子どもや保護者にどう伝えるべきだったのか
- チームの連携がどれほど大切か
を深く考えるようになりました。
保育士は「現場での判断力」と「コミュニケーション力」が求められますが、それは失敗を重ねて経験値を積むことでしか養えません。
5.おわりに
実習生の皆さんへ。失敗は避けられないけれど、それは決して恥ずかしいことではありません。
私の園では、失敗した実習生がその後どう考え、行動するかに注目しています。
失敗を恐れず、何度でも挑戦してください。保育士としての一歩を踏み出すために、失敗はあなたの貴重な「宝物」になります。
※この記事は現役保育士の体験をもとに執筆しています。
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