新人時代は、とにかく毎日が手探りで、目の前の子どもたちについていくのに必死でした。
少しずつ慣れてきて、気づけば勤続3年目の時。
現場でも「中堅」と呼ばれる立場になり、後輩ができ、保護者からの視線も変わってきました。
でも、ここでふと悩んだんです。
「中堅って、何を求められているんだろう?」と。
今回は、私自身が**“新人から中堅にステップアップした”と感じた5つの視点**をお伝えします。
経験談をまじえながら、保護者・保育士の両面から見えてきた「成長のポイント」をまとめました。
1. 「教えてもらう側」から「伝える側」へ視点を変える
新人の頃は、何もかもが初めてで、先輩に頼りっぱなし。
でも2年目、3年目になると、気づけば**「見られる側」「頼られる側」**になっていました。
私の園では、3年目から新人担当が割り当てられます。
最初は「私なんかが教えていいのかな」と不安ばかりでしたが、**“相手に伝えることで自分の理解が深まる”**という感覚を初めて持ちました。
後輩からの「なるほど!」という一言に、保育士としてのやりがいを再確認しました。
2. 子ども全体を見る「広い視野」を持つ
新人のときは「自分の担当の子」に意識が集中していました。
でも中堅になると、クラス全体やフロア全体を見渡す力が求められます。
私の園では、3歳〜5歳児が同じフロアで生活する時間があり、
「自分のクラス以外の子どもを見る」場面が多くなりました。
たとえば、他クラスの子がトラブルを起こしそうなとき、さりげなく視線を送ったり、手を差し伸べたり。
その積み重ねが、子どもたちの安心感や信頼につながっていきました。
保護者目線でも「クラス以外の子にも目が届いている先生」は信頼されやすいと実感しています。
3. 保護者と“協力関係”を築く視点を持つ
新人の頃は、保護者対応=緊張。
「失礼がないように」「怒られないように」と身構えてばかりでした。
でもある時、ベテランの先生に言われたんです。
「保護者とは“共に育てる”関係なんだよ」と。
私の園では、保護者との連携を大切にしていて、毎朝の挨拶や何気ない一言のやりとりが信頼構築のカギになっています。
たとえば「今日はいつもよりおしゃべりでしたね」「昨日おうちで練習したって言ってましたよ」と声をかけると、保護者の表情がぱっと明るくなるのを感じます。
一方的に伝えるのではなく、“対話を重ねる”ことが中堅としての成長だと思っています。
4. チームで動く意識を持つ
新人時代は「自分の仕事をミスなく終える」ことで精一杯。
でも中堅になると、**“チームとしてどう動くか”**が問われるようになります。
私の園では、日々の活動後に「小さな振り返りミーティング」があり、
「今日の動きでよかったこと」「困ったこと」を共有する習慣があります。
ある日、後輩がトラブル対応で手いっぱいになっていたのに気づかず、活動がバラバラになってしまったことがありました。
そのとき先輩に、「気づいた人がさりげなくフォローに入るのが中堅だよ」と言われ、ハッとしました。
周りを見て、声をかけて、必要があれば手を出す。それが「現場力」なんだと実感しました。
5. 自分の「強み」を見つけて活かす
中堅になった今、意識しているのは「自分らしい保育」を少しずつ形にしていくこと。
私の場合、絵本の読み聞かせが得意で、
読みながらアドリブで声色を変えたり、問いかけを入れたりするのが好きです。
私の園では、読み聞かせタイムを「自由コーナー活動のひとつ」として設定していて、
そこに子どもが自然と集まるようになり、「先生の読み聞かせ楽しみ!」と言われるようになりました。
得意なことを活かすことで、保育がもっと楽しくなり、子どもたちの反応も変わります。
おわりに:中堅は「つなぐ人」
新人とベテランの間で、中堅はときに迷い、悩む立場でもあります。
でもその立ち位置こそ、**現場全体のバランスをとる“つなぎ手”**としての大切な役割なんだと、今は思います。
子どもと後輩、保護者と保育士、理想と現実。
いろんな「間」を見つめて、少しずつ橋をかけていく。
それができるようになってきたと感じたとき、
「私、中堅になったんだな」と、自信を持てるようになりました。
※この記事は現役保育士の実体験をもとに構成しています。
コメント