梅雨の子どもの情緒不安定にどう向き合う?

梅雨の子どもの情緒不安定どう向き合う? 保育アイデア
―気圧・環境の変化への対応ポイント―

はじめに

梅雨の時期、子どもたちの様子が「なんだか落ち着かない」「いつもより泣きやすい」「かんしゃくが増えた」など、日々の保育の中で違和感を抱くことはありませんか?
実際、私が勤務する園でも、毎年この時期になると子どもたちの情緒面の揺らぎを感じます。

特に0〜2歳児クラスでは気圧や気温の変化、戸外遊びの減少といった環境要因が影響しやすく、保護者の方からも「最近うちの子、寝つきが悪くて…」「急に甘えん坊になって困ってます」といった声がよく聞かれます。

今回は、私自身の体験と「私の園ではこうだった」という実例を交えながら、梅雨時期の子どもの情緒不安定への向き合い方を、保育士・保護者それぞれの視点でお伝えします。


子どもたちが不安定になる「梅雨」の特性とは?

気圧・湿度・気温の変化が心身に影響

梅雨時期は、気圧の急な変動、日照不足、湿度の高さなど、大人でも体が重く感じることがあるように、子どもにとっても大きな負担になります。
体がだるくなると、心も不安定になりやすい――これは、言葉でうまく説明できない年齢の子どもほど顕著に表れます。

「外に出られない」ストレス

私の園では、雨が続くと戸外で思い切り体を動かす機会が減り、室内遊びが中心になります。その結果、エネルギーを持て余して、かんしゃくを起こしたり、友だちとのトラブルが増えたりすることもありました。


私の園ではこうだった:保育士としての対応策

(1)「なんとなく機嫌が悪い日」を受け止める

ある年、2歳児クラスで、普段はニコニコしているAくんが、朝から不機嫌。いつも楽しみにしている朝のお集まりも座りたがらず、泣いてしまいました。

私は無理に気持ちを切り替えさせるのではなく、「今日はなんだか眠たい気分かな? 雨が降ってるし、気持ちも雨かな」と、気持ちに寄り添う声かけをしました。すると、少し落ち着いたのか、自分からぬいぐるみを持ってきて、ひとり遊びを始めたのです。
「不機嫌も成長の一部」「今日はこういう日」と受け入れることが、かえって安心感につながると改めて感じた出来事でした。

(2)リズムを崩さない「いつも通り」の大切さ

梅雨時期でも、できる限り生活リズムを崩さずに過ごすことを心がけています。たとえば、室内遊びが増えても、「活動→休憩→食事→午睡」のサイクルは守る。これが子どもにとって「安心できる毎日」になります。

また、雨の日でも可能な感触遊びやサーキット運動を取り入れて、ストレスを発散できる仕掛けも積極的に取り入れています。

(3)保護者とのこまめな情報共有

子どもの情緒が不安定な時期は、保護者も戸惑いや不安を感じがちです。
私たち保育士は、「園ではこうでした」「今日はこういう気持ちが強かったようです」といった具体的なエピソードを伝えるようにしています。

保護者からは、「家でも似たような様子で、園での話を聞いて安心しました」という声をいただくことが多くあります。


保護者目線で考える:家でできるサポートとは?

(1)「感情が出せている証拠」と捉える

情緒不安定な様子は、実は「甘えられる大人がいる」「自分の感情を出していい場所だとわかっている」ことの現れでもあります。
一時的に手がかかるように感じるかもしれませんが、信頼関係が育っているからこその表現なのです。

(2)おうち時間の「切り替えの工夫」

戸外に出られない日は、お部屋の中で「静」と「動」のバランスを意識することも大切です。
たとえば、クッションを使ったジャンプ遊びと、お気に入りの絵本を読む時間を交互に設定することで、エネルギーの発散と気持ちの落ち着き、両方に対応できます。


おわりに

梅雨の情緒不安定は一時的なものですが、子どもにとっては「なんとなくつらい」が続く季節でもあります。
保育士としても保護者としても、「理由はよくわからないけれど、なんだか落ち着かない」という状態を責めず、そのままを受け止める姿勢がいちばんの安心材料になります。

そしてなにより、そうした不安定さも含めて「今だけの姿」であり、「成長途中の表れ」なのだという視点を持つことで、大人も子どもも少し楽になります。

今年の梅雨も、一緒にのりこえていきましょう。

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