―梅雨も子どもが笑顔で過ごせる工夫とは?―
はじめに
梅雨の時期、子どもたちにとって「雨」は、外で遊べない、洋服が濡れる、なんだか気分がすっきりしない……そんな“ちょっと嫌な存在”になりがちです。
しかし、視点を変えれば、雨は子どもの想像力をかき立てる絶好のテーマでもあります。
私が勤める園でも、以前は「雨=つまらない」と感じていた子どもたちが、保育を工夫することで「雨の日こそ楽しい!」と笑顔になるようになりました。
この記事では、ごっこ遊びや製作活動を通じて「雨=楽しい」に変えていく保育の工夫を、実体験を交えながらご紹介します。
保育士としての視点はもちろん、保護者目線での家庭でのヒントにもつながる内容です。
「雨ってたのしい!」を引き出す、ごっこ遊びの工夫
1. 雨の日限定「かさ屋さんごっこ」
ある日、2歳児クラスで「かさ持ってきたの?」という会話から、「かさ屋さんごっこ」が始まりました。
色とりどりの傘のイラストを画用紙で用意し、子どもたちと一緒に「どれにしますか?」「ピンクのかさください」とやりとりする中で、遊びながら傘の名前や色、やりとりの言葉が自然に育まれていきます。
そしてこの遊びは、「じゃあ今度、本物のかさを持ってきて見せ合おうよ!」と、家庭とのつながりにも発展しました。保護者の方も嬉しそうに写真を撮ってくださり、園と家庭をつなぐエピソードにもなりました。
2. 音やリズムで楽しむ「雨の音オーケストラ」
雨の音って、実はとても豊か。
「ポツポツ」「ザーザー」「ピチャピチャ」…さまざまな音を感じ取りながら、タンバリンやカスタネット、太鼓などの楽器を使って、雨のリズムを再現する音遊びをしました。
子どもたちは「この音はおおあめ!」「これはこさめ!」と、自分なりに音を作り分けていて、こちらが驚くほどの感性を見せてくれました。
保育室にいながら自然と触れ合う感覚を体験できる、梅雨ならではの遊びです。
製作で「雨」をテーマに遊び込む
3. 手作りてるてる坊主に“気持ち”を込める
3歳児クラスでは、てるてる坊主を作る活動を行いました。
最初は「晴れますように」の願いを込めて作っていましたが、子どもたちの中から「雨がすきなてるてる坊主がいてもいいよね」という声が上がりました。そこからは「雨の日がすきな子」「かたつむりが友だちの子」など、個性豊かなてるてる坊主たちが誕生。
製作という“形に残る遊び”の中に、自分の感情を込めて表現する力が育っているのを感じました。
4. 雨の日の「しずくアート」体験
私の園で人気だったのが、「しずくアート」。
水を含ませたスポンジやスポイトを使い、絵の具を垂らして“しずく”を描く遊びです。にじみや流れの偶然を楽しむ中で、「これ、雨みたい!」「いっぱいふったらどうなるかな?」と、自然と会話が生まれました。
汚れても大丈夫なようにスモックを用意して、思いきり手を動かせるようにすると、自由な表現の広がりが一層深まります。
保護者目線でできる家庭での関わり
梅雨のストレスをやわらげるには、家庭でも「雨の楽しさ」を見つけていくことが効果的です。
- 一緒に傘や長靴を選ぶ
- 窓にしずくの絵を描いてみる
- お風呂場で「雨の日ごっこ」をしてみる
大切なのは、「雨=ネガティブなもの」と大人が決めつけず、子どもと一緒に楽しみ方を見つけていく姿勢です。
おわりに
「雨=いやだな」というイメージは、大人が思っているよりも、子どもたちの中にしっかり存在しています。
でも、そのイメージは、日々の遊びや関わりで、いくらでも「楽しい」に変えられることを、私は現場で実感しています。
ごっこ遊びや製作活動は、子どもの心の世界を広げる大切なツール。
今年の梅雨は、「雨って楽しいかも!」と感じられる時間を、子どもたちと一緒に作ってみませんか?
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