叱る・伝えるの違い。私が心がけている伝え方

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― 感情でぶつけない、子どもと向き合うために ―

はじめに

「叱る」と「伝える」って、どう違うの?
保育士として働き始めたばかりの頃、私はその境界がよく分からず、声を荒げてしまったこともありました。
でも、経験を重ね、子どもや保護者と向き合っていく中で気づいたのは、“伝える”ことの大切さと、その奥深さです。

今回は、私が実際に経験した場面をもとに、「叱る」と「伝える」の違いや、伝える時に心がけていることを保育士と保護者の両方の視点から綴っていきます。


「叱る」しかできなかった新人時代

保育士1年目のある日、おもちゃの貸し借りでけんかになり、1人の子が相手を突き飛ばしてしまったのです。

私はとっさに大きな声で「こら!そんなことしたらダメでしょ!」と叱ってしまいました。
相手の子のケガはなく、すぐに落ち着いたのですが、突き飛ばした子はずっと黙ったまま。その後、私の顔を見ても距離を取るようになってしまいました。

「伝える」のではなく、「怒る」「止める」だけだったことに、後から反省しました。
その子がなぜそんな行動をしたのかに向き合えていなかったのです。


私の園での関わり方の変化

今勤めている園では、保育士同士で「叱らずにどう伝えるか」を日常的に話し合う時間があります。
たとえば、同じようにけんかが起きたときには、次のようなやりとりを心がけています。

  • まずは落ち着く時間をとる
  • 子どもの話を聞く:「どんな気持ちだった?」「何がいやだったの?」
  • 行動ではなく“気持ち”を受けとめる:「そうだったんだね、貸したくなかったんだね」
  • それから“どうすればよかったか”を一緒に考える:「ことばで伝えられるとよかったね」

このように関わることで、子どもは**「怒られた」ではなく「聞いてもらえた」と感じられる**ようになります。


保護者目線で見た「伝える」保育

あるとき、保護者の方から「うちの子、前より“ごめんなさい”が言えるようになったんです」とお話がありました。
その子も以前はトラブルのたびに固まってしまい、話すことが苦手でした。
でも、園で繰り返し「気持ちを聞いてもらえる経験」を積んだことで、自分の気持ちや相手の気持ちに気づく力が育っていったのです。

そのお母さんは、「怒られてばかりだと、自信をなくしてしまいますよね。園での関わり方を家庭でもまねしてみます」と話してくれました。
保育士の姿勢は、保護者にも伝わり、家庭での関わりにも広がっていくのだと感じた出来事でした。


私が心がけている“伝え方”のポイント

1. 「ダメ」だけで終わらせない

「ダメ!」と言いたくなる気持ちが出てきたら、一度深呼吸。
何が“どうして”ダメだったのか、理由と代わりの行動を具体的に伝えるようにしています。

2. 子どもの“気持ち”を言葉にする

「○○したかったんだね」「悔しかったよね」など、子どもが自分の感情を理解できる手助けになる声かけを意識しています。

3. その場で完結させない

伝えるタイミングは必ずしも“今すぐ”じゃなくてもいい。
落ち着いた後で話すほうが、子どもの心に届くこともあります。


おわりに

「叱る」のではなく、「伝える」。
それは、子どもの成長を信じて、待つこと、関わり続けることだと思います。

私もまだまだ迷うこともあります。
でも、子どもが自分で考え、選び、歩けるようになるために、これからも“伝える”ことを大切にしていきたいと思っています。

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