「雨の日や暑すぎる日、外で遊べない時ってどうすればいいの?」
0歳児と過ごす日々の中で、保育士も保護者も悩むのが“室内遊びの工夫”ですよね。特に0歳児は発達の差も大きく、月齢ごとに興味の示し方も変わります。
今回は、現役保育士である私が実際に保育現場で取り入れている遊びをもとに、
0歳児の発達に合った室内遊びとその「ねらい」「準備物」「遊びの内容」、
そして“子どもと関わる中で感じたこと”をお話しします。
遊び1|感触あそび:ジップロックぷにぷに袋
■遊びのねらい
・手のひらで押す、触るなどの感覚刺激を楽しむ
・指先の発達を促す
・「冷たい」「ぷにぷに」など、感触の違いを経験する
■用意するもの
・ジップロック(小サイズ)
・ヘアジェルや水のり
・ラメ、ビーズ、小さく切った色セロファンなど
■遊びの内容
ジップロックにヘアジェルとセロファンやビーズを入れて封をしっかり閉じます。
それを床やマットの上に置いて、赤ちゃんが自由に手で押したり、寝転んで触れたりできるようにします。
■私の園ではこうだった
初めてぷにぷに袋を使ったのは、6ヶ月の赤ちゃんが増えてきた頃。
最初は不思議そうに眺めていた子たちが、少しずつ指で押したり、じっと見つめたりするようになりました。
特に印象的だったのは、10ヶ月のAちゃん。ラメの動きに合わせて指を追い、最後には“指さし”をするようになりました。
「わあ、今“見る”と“動かす”が繋がったな」と感じた瞬間でした。
■保護者目線のワンポイント
ぷにぷに袋はお家でも簡単に作れます。
ただし「破れると誤飲の危険がある」ため、袋を二重にする・遊ぶときは大人が必ず付き添うようにしましょう。
遊び2|音あそび:ペットボトルマラカス
■遊びのねらい
・音の違いに気づき、耳を使った遊びを楽しむ
・「鳴らすと音が出る」ことの因果関係に気づく
・音への興味を広げる
■用意するもの
・小さめのペットボトル
・ビーズ、ボタン、米、パスタなど音の出る素材数種
■遊びの内容
中に音素材を入れたマラカスを複数用意し、音の違いを楽しむようにします。
保育士が振って見せたり、赤ちゃんの前で音を出して見せたりして、子どもの反応を見ながら関わります。
■私の園ではこうだった
1歳近くなると、自分で振ることが楽しくなるようで、音に合わせて揺れたり笑ったりする子も。
特にEくんは米の音が好きで、そのマラカスだけを握りしめてずっと振っていました。
その姿を見ていたお母さんが、「こんなに音が好きなんですね」と驚かれていたのを覚えています。
■保護者目線のワンポイント
素材によって音の出方が違うので、複数作って比較するのも面白いです。
子どもが口に入れないよう、蓋はしっかり接着剤で固定しましょう。
遊び3|鏡あそび:いないいないばあ
■遊びのねらい
・自分や他者の存在に気づく
・表情をまねたり、関わりの楽しさを感じる
・“いないいないばあ”で予測する力を育てる
■用意するもの
・安全なベビー用鏡(割れないもの)
・保育士の顔(道具はいりません!)
■遊びの内容
鏡を床に置き、赤ちゃんが自分の顔を眺めたり、保育士が鏡越しに声をかけたり。
「いないいない…ばあ!」とタイミングを合わせて顔を出すと、笑ったり驚いたりする反応が返ってきます。
■私の園ではこうだった
生後8ヶ月頃のFちゃんは、最初は鏡を見ても無反応。
でも繰り返すうちに、鏡に映る私の顔をじっと見て、表情をまねるようになってきました。
“まねる”って、コミュニケーションの第一歩だと感じた瞬間でした。
■保護者目線のワンポイント
鏡あそびは特別な道具がいらず、日常の中でできる遊びです。
「ママと目が合うだけで、子どもは安心する」そんな時間を意識的に持つのも大切ですね。
遊び4|布遊び:ひらひらキャッチ
■遊びのねらい
・視線の追視力を育てる
・落ちてくるものに手を伸ばすことで、タイミング感覚や手指の動きを育てる
・保育者とのやりとりを楽しむ
■用意するもの
・薄手のスカーフやガーゼなど、ひらひら落ちる軽い布
■遊びの内容
子どもの目の前で布を高く上げて、ひらひらと落とします。
保育士が「ひらひら〜ぽとん」と声をかけながら落とすと、子どもが視線で追ったり、手を伸ばしたりします。
■私の園ではこうだった
6ヶ月の子どもたちにこの遊びをすると、最初はただ見ているだけだったのが、何回か繰り返すうちに手を伸ばしてキャッチしようとする子が増えてきました。
8ヶ月の男の子は、キャッチできた時に満面の笑顔! 他の子たちもつられて笑っていて、保育室全体が温かい空気に包まれました。
■保護者目線のワンポイント
家にあるガーゼやハンカチでも十分楽しめます。
布が顔にかかっても安全な素材を選び、遊ぶときは必ず大人がそばについてあげましょう。
遊び5|新聞紙びりびり
■遊びのねらい
・指先を使って「破る」感覚を楽しむ
・音や触感の変化を経験する
・繰り返し遊びによる集中力の育成
■用意するもの
・新聞紙や広告紙(大きめで破りやすいもの)
■遊びの内容
新聞紙を保育士がゆっくり破る様子を見せ、子どもも一緒に手を伸ばして触れたり、破ってみたりします。
破った後は、紙吹雪のようにして上から降らせても楽しめます。
■私の園ではこうだった
10ヶ月の子どもたちと新聞紙をちぎっていたとき、Sちゃんが自分でビリッと破れた瞬間、とても嬉しそうに保育士の顔を見ました。
「できた!」の表情は、言葉がなくてもはっきり伝わってきます。
その経験が「またやりたい」という気持ちにつながり、次の日も自分から新聞紙のカゴへ向かっていく姿がありました。
■保護者目線のワンポイント
指先の力が弱い月齢の子は、小さくちぎって与えるのもOKです。
破った紙の誤飲防止のため、終了後の片づけはしっかりと行いましょう。
遊び6|ボール転がし:転がしてキャッチ!
■遊びのねらい
・目で追う力、手を伸ばす動き、予測する力を育てる
・大人との関わり・やりとりを楽しむ
・“キャッチボール”の原型体験
■用意するもの
・柔らかい布ボール、またはビニール製の軽いボール
■遊びの内容
子どもの前に座り、床を転がしてボールを渡します。
子どもがハイハイや寝返りで近づいてきたら、ボールをまた転がして返してあげましょう。
タイミングが合えば手で触れたり、笑顔で返したりするようになります。
■私の園ではこうだった
1歳手前のRくんとボール遊びをしていたとき、私が転がしたボールを目で追い、ついに両手でキャッチ。
それを「ほら!」と言わんばかりに私に見せてくれたんです。
「それ、すごいことだよ」と思わず声が弾みました。
ボールを通して“やりとりが通じる”ことの楽しさを、Rくんも私も同時に味わっていた気がします。
■保護者目線のワンポイント
家でも、ボールの代わりに丸めたタオルなど柔らかいものでOK。
無理に「返させよう」とせず、見つめ合うだけでも十分なやりとりになります。
まとめ
0歳児にとって「遊び=学び」。
大切なのは、「何をするか」より「誰とどんなふうに感じるか」。
遊びの中にこそ、心と体の発達、関係づくりのすべてが詰まっています。
保育士として、そして保護者として、日々のあそびに少しだけ“育ち”の視点を添えてみませんか?
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